Education Physics

日本物理学会 第6回物理教育シンポジウム~アクティブラーニングをどう活かすか~

日本物理学会 第6回物理教育シンポジウムに参加してきました。

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昨年と同様に東京大学本郷キャンパス小柴ホールでの開催でした。


プログラム

・「日本の授業実践研究に学ぶ」
右近修二 (東京都市大学)

・「到達目標学習課題方式-概念獲得のための授業づくり」
石井登志夫 (埼玉県立与野高等学校)

・「学びを助けるアクティブラーニングとは?-日米中の物理授業比較から-
土佐幸子 (新潟大学)

総合討論

第6回物理教育シンポジウムを振り返って

定員170名の募集に対して160名を超える参加者があり、
今回のテーマである「アクティブラーニング」への関心の高さを感じました。
話題の中心が高校以下の生徒に関する部分が多く、
高校の先生の参加が多いようでした。

「アクティブラーニング」、日本語で表すと「能動的学習」となります。
もう少し具体的には「学生、生徒が主体的に問題を発見し、
答えを見出していく学習」と言うことになります。
従って、「アクティブラーニング型の授業」となると、
学生の自主的な参加が不可欠となってきます。
講義内で学生が頭を使って考える時間を増やす必要が出てきます。
これは、学習内容の定着度の向上が期待できるので良い方法であると言えます。
自分の過去の経験からも、定期テストの直後の解説は
よく理解できていた覚えがあります。
直前のテストでフルに頭を活用して考えた後なので、
定着度は通常に比べて向上しているということになります。

よって、「アクティブラーニングは素晴らしい!」となるのですが、
そう手放しで喜べない問題として

1. 時間がかかる
2. 教員の負担が増える

といった部分が考えられます。

1つ目の問題に対しては大学では一つの科目で講義時間が90分15回分と
決まっているので、この制約により「アクティブラーニング」に費やす時間が増えると
「教えられる内容が制限されてしまう」ことになります。
これはなかなか難しい問題で、高校以下の場合では
「教えきれなかった部分では大学で勉強すればいい」という見方もできます。
しかし大学ではさらに上で・・・とはすることはなかなか難しいことになります。
つまり、「教える内容が減っても理解度が高い方が良いのか?」
それとも「教える内容はカバーして理解度はそこそこで良いのか?」
といった選択になってきます。
もちろん、「内容をカバーし理解度が高い」のが一番良いのですが、
大学という大人数型の授業で達成するのは難しいと思います。
さらに、講義以外の時間での自主学習が重要になってくるでしょう。

結局のところ、「どういった人間を育成したいか」に集約されると個人的には思います。
全員が大学の研究者や企業の開発者になる訳では無いですし、
単位だけ取って企業に就職したいと思っている学生も一定数居るでしょう。
しかし、生涯、物理に興味や関心をもって勉強して欲しいのは言うまでもありません。
勉強と表現すると堅苦しいですが、知識欲を持って自らを高めて欲しいと思っています。

2つめの問題に対しては教員側の問題ですが、
日々の事が忙しくて急には大きく変えることは難しいということになります。
やる気一つでどうにかなる部分もありますし、
変化をさせることが大変な部分もあります。
限られたリソースの中で少しずつ対応していくことになると考えています。

この「アクティブラーニング型の授業」を取り入れていくのは少しずつ、
バランスを考えながら進めていくことになると思いました。

来年度の物理教育シンポジウムも参加して役に立てたいと思います。


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